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古い劇場用35ミリ映写機、送り出し側のリールとフィルム


* 連載フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 295 <フィルムとコマの話 その48> ショウスキャンの退場

 ショウスキャンが体感シアターの道を選んだ、という話の続きだ。

 ところでこの「体感シアター」。博覧会の映像展示やテーマパークのアトラクションなどでよく使われる言葉だが、これはいったい何だろうか?

 明確な基準があるわけではないが、観客が基本的に傍観者である劇映画と違い「観客自身がそのイベントに参加しているような気分を味わえる映像」と言ってよいだろう。

 そのためにまず採用されるのが大型画面だ。視界全部がスクリーンであるのが望ましいからで全天全周映像が採用されることも多い。立体映像であるとなお良いかもしれない。

 しかしそうなってくるとこれらの映像ソースに35ミリ4パーフォレーション(フィルムを送る穴、以降Pと呼称)のフィルム、つまり「普通の映画フィルム」は力不足だ。拡大率が大きすぎて画質が低下するのである。

 したがってこれらの上映システムにおいては、いかに大きなフィルム面積を確保するか、あるいはどのような特殊な仕掛けを盛り込めるかが勝負となる。
 以下にそれらをざっと紹介しよう。


 曰く・・・


IMAX ・・・ 70mm15Pの大型映像
IMAX3D ・・・ IMAXを2台使った立体映像
OMNIMAX(IMAX Dome) ・・・ IMAXのドーム映像
OMNIMAX3D ・・・ OMNIMAXを2台使ったドーム立体映像
Astrovision35 ・・・ 35mm8Pのドーム映像
Astrovision70 ・・・ 撮影:35mm8P/映写:70mm10Pのドーム映像
Stereo 70 ・・・ 70mmフィルムを左右の目用に上下2段で分割した立体映像
Stereo Vision ・・・ 35mm4P(2Pずつ上下に分割)の立体映像
Stereo Vision“Super70” ・・・ 70mm10P(5Pずつ上下に分割)の立体映像
Stereo Space ・・・ 70mm5Pを2台使った立体映像
ESI-3D ・・・ 70mm8P(4Pずつ上下に分割)の立体映像
ダイナビジョン ・・・ 撮影:35mm8P/映写:70mm8Pの大型映像
オパックス ・・・ 70mm8Pのドーム映像
ジャパックス ・・・ 70mm8Pの大型映像
ツイン・キュービック・システム ・・・ ジャパックス2台の立体映像
ビッグシャトル ・・・ 撮影:35mm8P/映写:70mm8Pの大型映像



 フィルムを2本使ったり、横に走らせたり、上下2段に分割したりと何がなんだかわからない特殊フォーマットのオンパレードである。(ちゃんと調査すればまだあるに違いない)

 ショウスキャンはそれらの中にあって健闘した。しかし立体でもドームでもない映像では独自性が発揮できなかったというべきか各種の映像ショーの中に埋没し、体感シアターブームにかげりが出てくると経営が悪化して、ついに2000年8月16日連邦破産法第11章の手続きを申請するに至ってしまった。

 映画がトーキーになって以来70年、ずっと変わらなかった秒24コマ数という上映システム(上記の各種上映方式もコマ数だけは全て秒24コマなのである)。
 そのコマ数が本質的に持っているブレボケ動きボケを初めて改善したショウスキャンはその驚異の高画質を誇りながらも1本の劇映画を世に送り出すことなく終わってしまったのだった。


 ※PS.

 showscanで検索すると、今でもショウスキャンエンターティメントのウエブサイトを見ることが出来る。再建され活動は続けているのかもしれない(しかし2004年を最後に更新されていないって・・・)。
 ともあれトランブルが手を引いたのは確かである、彼は今では「仮想網膜ディスプレイ」(レーザー使って画像を目の網膜に直接投射するシステム)の開発にいそしんでいる。


※<フィルムとコマの話>を最初から読みたい方は →こちら 


2008年01月09日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部