* 連載フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number


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水中爆発のテスト
爆発した瞬間はきわめてディティールが細かくスケール感があります



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一瞬のちには水がそのスケールにあったふるまいをはじめるのでスケール感がなくなります
特撮は一瞬が命





Roll 302 <フィルムとコマの話 その55> その一瞬を引き延ばせ

 前回、ミニチュアにとって爆煙は大きすぎるという話と、だからといって全体を捉えようと引いたフレーミングをすると「爆発の待ちポジ」になってしまうという話をした。

 では「爆発の待ちポジ」になるのを嫌い、爆煙が画面に収まらないのは承知のフレーミングをおこなうと何が問題になるだろうか。

 それは使える秒数が減るということだ。
 爆発シーンは火や煙がモクモクと広がっていく様が観客の目を惹くのであって、その部分がフレームアウトし画面全体が白く(または黒く)なってしまえばカットなのだ。

 しかし爆煙は最初スピードが速い。燃焼ガスは急速に膨張(し急激に減速)するわけだが、この場合その速い部分しか捉えられないということになる。時間的にほんの一瞬である。

 更にカメラポジションというのも問題になるだろう。

 たとえば高さ30mのビルを30度の仰角で捉えているならカメラはビルから42m離れている、十分に安全圏内だ。
 ところが1/24のミニチュアで同じアングルにはいるとこれが1.8mとなる、この場合カメラが爆煙に飲み込まれることは間違いない。
 こういうカメラを俗にスタントカメラと言う。厳重な防御をした上に無人で回すことになるのだが、このカメラで使える映像は爆煙がレンズに到達するまでの一瞬しかない。

 これら一瞬を可能なかぎり長く使うためハイスピード撮影が必要になるのだ。

 前々回までに述べたように、落下速度を縮尺スケールに合わせるのは計算可能な撮影効果だった。
 「動きの角を取る効果」は検証可能ではないと述べたが、これは効果を数字で説明出来ないという意味であって「毎秒1mで歩くのが最適なら、1mを0.5秒で歩かせ、カメラは2倍速で回そう」という風に適正なカメラスピードを数字で示せることには変わりない。

 しかし爆発カットは違う。「一瞬」を引き延ばすためには可能なかぎり速いカメラスピードが欲しいのだ。
 ではいったい世の中にはどれくらい速いカメラがあるのだろうか?


 続く。


2008年04月16日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部