写真
---> 拡大表示

目と鼻の先で石つぶてが吹き飛びます(詳細はヒミツ)


* 連載フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 304 <フィルムとコマの話 その57> 世界最速のハイスピードカメラ

 20世紀中盤にハイスピードカメラは劇的に進化した、とはいえそれはあくまで科学的分析の用途に特化したものだった。

 その当時開発されたカメラには以下のようなものがある。

・・・・・

■ロータリーミラー式カメラ

 最高3,500,000コマ/秒(!)という最速の形式。
 円形のカメラ内部にフィルムを丸く貼り付けておき、中心で回転するミラーにより画像を配っていく。ミラーを高速で回転させるだけで良く(フィルムを駆動させる必要がなく)きわめて高速な撮影が可能だった。
 核実験やジェットエンジンの燃焼実験の分析に使われたが、画像がフィルムを一周すると終わりなので撮影コマ数が極端に少ないという欠点がある。
 この3,500,000コマ/秒を叩き出したMOD-6というカメラはわずか170コマしか撮れなかった。したがって記録時間は170/3500000秒、つまり0.0000485秒間である。


■ロ−タリ−プリズム式カメラ

 ムービーカメラの高速化が難しいのはフィルムの間欠動作がネックとなっているからだ。ならばフィルムを止めず上から下へ高速で巻き取ってしまおう、というのがこの形式である。
 もちろん動いているフィルムに画像を投影しても流れてしまうだけなのでフィルム速度に合わせ絵を上から下に動かし、相対速度を0にして露光するという仕組みになっている。
 画像を動かすため、レンズとフィルムの間に回転するプリズムが入っているのでこう呼ばれる。
 これは1932年、電話交換器の不具合に悩んでいたベル電話機研究所が原因究明のために開発したものだ。
 多くの同型カメラが作られ、衝突・破壊実験などに広く使われたが画質が悪いという欠点があった。
 クラッシュする車や交換機のリレーを撮る分にはなんの問題もないが、画質が悪いのでは映画には使えない。

・・・・・


 露光時にフィルムが静止する普通の、つまり「掻き落とし式」のハイスピードカメラが誕生したのは1950年以降だった。更なる工業技術の発達のために20年近い歳月が必要だったわけだ。
 そしてこのタイプのカメラが映画に使用されるようになったのは更にあと、ハイスピードカメラの老舗フォトソニック社が映画向けのカメラを充実させはじめた1960年以降のことだった。

 このフォトソニック社の映画用ハイスピードカメラ、フォトソニック4ER。速度は360コマ/秒。これが長く映画用フィルムカメラの最高速だった。


2008年05月21日掲載

<--Back     Next-->

今日もカメラは回るの目次へ--->



Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部