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スクリプターの魂ストップウォッチ。最近とんと見なくなったアナログタイプ。

数年前までは「これでなくちゃ仕事にならないわ」と言う人も多かったのですが。


* 連載フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 312 <フィルムとコマの話 その65> 改めて「操演とは何か」について

 ハイスピード撮影は当初「何かをスローで見せる」手法だったと以前述べた。
 それがミニチュア撮影においてスケール感を表現するのに有効であることが判明し、以降特撮映画=ハイスピード撮影と言ってよい状況になったということも述べたと思う。

 「何かをスローで見せる」なら、その「何か」は撮影時には普通の速度で動作/演技していればよい。
 しかし特撮は上映された時の映像、つまり時間が伸張された映像が「適正な速度、気持ちのいいタイミング」に見えなければならないのだ。


 さてところで「私は操演とは何をするお仕事?」と聞かれると「画面の中で役者以外のすべての物を動かす仕事」と答えることにしている。

 これはあまり親切な答えではないが、といって「人を吊ったり怪獣の尻尾を吊ったりミニチュアを動かしたり、火薬をしかけたり、霧を発生させたり、コンピューターを使ってカメラを・・・」と答えるのが親切であるとも言えないだろう。
 ロケーションの場合は自然現象など上記の定義に収まらない物もあるが、特撮セットという完全に人工的な環境では動く「物」は全て操演部がコントロールすることになる。

 つまり操演とは引き延ばされた時間の中での芝居を考える仕事なのだ。

 「天守爆破」と「バタンコ」の話で述べたとおり、この仕事をうまくやるにはリアルでこう見えたら○倍ではこう見える、こういう仕掛けをしたら○倍ではこうなる、という経験を積んでいく以外ない。時に痛い目に合いながらもだ。


 さて、前回ビデオモニターの話をした。これはファインダーの映像をハーフミラーで分岐してCCDで撮影、ビデオで外部出力する仕掛けだ。
 ファインダー=フィルムに定着している映像だから、これは撮られている絵をリアルタイムで見ることが出来る仕掛けということになる。

 これをビデオアシストと言うのだが、今劇映画でこれが導入されていない現場はない。
 ロケ先の風景をどう切り取るかがカメラマンの腕、という映画と違って、カメラに見えるところだけを作るミニチュア撮影では「どこまでフレームに入っているか」が「誰にでも」見えるビデオアシストはきわめて有効だ。

 普通の(?)ドラマだと、絵をモニターに出しているだけということもあるが、特撮の場合これは絶対にビデオデッキ(あるいはHDDレコーダー)に接続され、録画されている。

 ハイスピード撮影を多用する特撮現場においては、撮った映像をスローで(上映するときの速度で)再生できるということが重要なのだ。

 しかし、ビデオアシストも万能ではない・・・ という話は次回に。


2008年09月17日掲載

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