写真
---> 拡大表示

(C) MIka Ninagawa


* 週刊フォトエッセイ*

NinaMika Weekly 週刊ニナガワ通信

  文・写真/蜷川実花 --->Back Number × 中山慶太




§キューピッドとサイケの堕天使 #4§(jul.2003 #04)

 ところでエロスは一般にアフロディーテの子として知られるけれど、別の出典では虹の女神イリスが産んだことになっている。イリスはアヤメの花に名を遺し、僕らがよく知っているカメラの部品にもなっている。それは何でしょう。
 答えは「絞り」。レンズのなかにあって光の量を制御する部品で、人間の瞳孔とおなじ働きをする。絞りを閉じていく課程で真円を保つ方がボケ描写が綺麗というのだが、これはまあ余談である。そういえば猫の瞳孔はあの形だから、ボケはどう見えるんだ?
 蜷川実花の写真はひところ色の派手さ(実はけっこう渋い色も多い)で語られていたけど、もう色だけで語るひとはいないだろう。彼女の作風は猫の目のように変わる。それはなかば意図的に変えているのだと、これはニナミカ本人の言葉である。おなじパターンを繰り返せば作家としての寿命が縮まる、というプロとしての計算より、たぶん自分自身が前に進まなくなるのを怖れているのだ。
 常に変化する作風は、それでもひとつの世界のなかにある。あたりまえの話だけど、それは彼女の美意識が堅固な垣根を持っているからだ。その垣根のなかにエロスとプシケ(キューピッドとサイケ)を住まわせ、ふたりの関係をちょっとずつ変えながら写真を撮る。蜷川実花の写真とはそういうものだと僕は思う。
 彼女が垣根を崩して余分なものを入れたところは、たぶん観たことがない。

 さてこの8月に開催される待望の個展では、エロスとプシケの関係はどうなっているだろう。勝手な思い込みだけど、僕はとても愉しみにしている。



☆ ☆ ☆


■最新作品集「Acid Bloom」(エディシオントレヴィル)出版に合わせ、
 蜷川実花さんの個展が開催されます。

 蜷川実花写真展「Acid Bloom 1」
         青山 gallery ROCKET* 8月1日〜8月13日
 蜷川実花写真展「Acid Bloom 2」
         原宿 NADiff 8月1日〜9月15日

*gallery ROCKET 1F では「花」をモチーフにしたグッズ販売が行われます。


■蜷川実花さんの公式サイ ト
 最新情報、過去の仕事や作品集はこちらでチェック!!


2003年07月30日掲載

<--Back     Next-->



Webmaster :
ammo@tokyo.fujifilm.co.jp
Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部