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※撮影:中山慶太


* 週刊フォトエッセイ*

NinaMika Weekly 週刊ニナガワ通信

  文/蜷川実花 --->Back Number × 中山慶太




§チープトリップの謎(4)§(nov.2003 #04)

 千春と真琴が桟橋を歩いていると、ボートのなかで目覚めたハマドが駆け寄ってきて、夢の話をする。
「またおなじ夢をみました。ヒキガエルに怒られる夢」
 夢にはいったいどんな意味があるのか、説明はない。
 ヒキガエルは話だけで姿をみせないけれど、「チープトリップ」の画面にはいくつもの動物が登場する。亀、モグラ、恐竜。たまたまロケ地にあった? 足漕ぎボートの恐竜はさておき、亀とカエルとモグラはなにかのメタファーに違いない。
 だからこの動物の謎解きは、たぶんきっとお話の本質を理解するのに役立つはずだ。と考えてアタマを捻ってみたところで、まあそれらしい解答は得られたとしても、それはあなたのチープトリップ感でしかない。物語とはすべてそういうものだ。作者が意図的に仕組んだ謎をうまく解ける場合もあれば、てんで的はずれに終わることもある。ここまで僕が書いた話も、いってみれば与太話みたいなもの、と思っていただきたい。

 今回のロケを見学したとき、僕は脚本の宮脇さんはじめスタッフのかたがたと話をする機会に恵まれた。取材ノートに書きつづったメモをアタマのなかで組み立てると、この物語に込められたメッセージがおぼろげながらに浮かんでくる。またラストシーンには議論があって、最初の脚本からすこし変わったそうだ。
 でもそういうネタは、ここまでの話ではいっさいしていない。なぜなら完成した「チープトリップ」は、僕が想像していた話とは似て非なるものに仕上がっていたからだ。それは理屈を超えた映像の力、ニナミカ・マジックと呼ぶべき変幻自在のイメージによるところが大きい。
 蜷川実花がこの先、長編映画を撮ることになるのか、それはわからない。でも今回のショートムーヴィーで見せた演出力と構成力、そして変幻自在な映像をつむぎ出すイマジネーションが、この一作で出尽くしたとは到底思えない。収録時間の制約を超えた次回作を熱烈に期待しようではないか。
 そうそう、その時はロケが天候に恵まれることをお祈りしています、実花さん。

※取材協力:森 幸映(アジアンカルチャーオーガナイズ)

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2003年11月26日掲載

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