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※写真/中山慶太


* 週刊フォトエッセイ*

NinaMika Weekly 週刊ニナガワ通信

  文/蜷川実花 --->Back Number × 中山慶太




§変容せざる魂(3)§(dec.2004 #03)

 頭が良くて、楽しくて、元気なひと。前々回でこう記した蜷川実花の印象に、ひとつ忘れていたことがある。それは彼女がとても大人だということだ。なに、彼女の年齢を考えれば当たり前だろうって?
 いやいや、そんなことはない。なにしろ彼女ははじめて僕の目の前に現れたあの日から、すでに完成された蜷川実花だった。写真はすこしずつ変化しているけれど、それは表現のための引き出しが増えた(あの膨大な量をどこに溜め込んでいるのだろう?)だけで、ニナミカというキャラクターはすこしも歳をとっていない。

 デビュー直後からの数年間、蜷川作品はとりわけ若い女性の支持を得ていた。正直、僕は彼女の個展に行くといつも身の置き所がなくて困ったものだった。それがある時期を境に老若男女、ほんとうに幅広い層のひとたちに愛されるようになった。これだけエイジレスでセックスレスな支持を得る写真家は稀だと思う。
 それは彼女の作品、というか彼女自身が変化したというよりも、写真を観賞するこちら側がようやく追いついてきたためだろう。あの眩い世界に目が慣れてきた、ともいえる。
 だが目が慣れたところで、その奥にあるものを正視することは相変わらず難しい。すくなくとも僕にとって、蜷川実花の作品は今でも謎が多い。ただしそこに感じとれるのは、常にひとりの大人の作家性である。
 現世(うつしよ)を切り取って、その表象でものを語るのではなく、いったん原色のフィルターを通してから世界を再構築する。その行為があらゆる意味できちんと計算されているところが大人なのだ。

 歳をとらないこと。大人であること。それは彼女の創作を読み解く重要なキーである、と思う。

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2004年12月15日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部