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※写真/中山慶太


* 週刊フォトエッセイ*

NinaMika Weekly 週刊ニナガワ通信

  文/蜷川実花 --->Back Number × 中山慶太




§残酷な表現者が支配する(3)§(feb.2005 #03)

 蜷川実花は多種多様なフィルムを使い分ける。選択は撮影条件だけでなく、撮りたいイメージよって変わる。プロとして当然といえばそうなのだけど、それはむしろ画家が絵の具を選ぶのに似ている。

 これは業界では有名な話だが、いぜん彼女が常用していたあるフィルムがディスコン(製造中止)になった。蜷川実花は日本中の量販店に当たって、在庫を買い占めたそうだ。そうして彼女は事務所の冷蔵庫にいっぱいに詰め込んだ在庫を大切に消費しながら、懸命にその代わりになるフィルムと印画紙、そしてプリント方法を研究した。まことに涙無しには聴けない話である。
 この話にはオチがあって、彼女がその在庫を使い切るまさにその直前に、おなじフィルムがすこし仕様を変えて再生産されたという。その時点で蜷川実花はすでに代わりの手法を編み出していたのだが、それは彼女に表現の幅を与える結果となったらしい(今の彼女の研究熱心は、たぶんその苦労の結果だろう)。

 神は表現者に残酷な仕打ちをしないものなのだ。


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2005年02月16日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部