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NinaMika Weekly 週刊ニナガワ通信 文/蜷川実花 --->Back Number × 中山慶太 |
§It's a kind of MAGIC(1)§(apr.2005 #01) その昔、写真は魔術だった。 ニエプスが発明してダゲールがひろめた写真術。それは伝染病のような速さと熱をともなって世界中に蔓延していった。今から二百年ちかくも前のことである。 ありのままを記録する写真は肖像画家たちの仕事を奪うと思われたけれど、ありのままに描かれることを好まないひとたちもたくさんいたので、けっきょく写真家は肖像画家たちの過剰な演出を学ばなければいけなかった。 生まれて間もないころの写真は1枚を撮るのに数十分を要した。今のフィルムに当たる感光材料の感度がどえらく低く、レンズも暗黒に近いほど暗かったからだ。肖像写真のモデルはじっと我慢の子を強いられ、そうでない人や動植物はブレたりボケたりして形を失った。 写真機は魂を吸い取る、といって忌み嫌うひともあらわれた。抜かれた魂はフィルムや印画紙のうえに定着するという。抜き取られた本人はどうなるか、あいにくその説明は聞いていない。 色の付いた写真はいろいろな方法で試みられたものの、合理的な解決法が見つかるまでに百年ちかくを要した。 写真機と写真術はたがいに刺激を与えながら発達し、今では発明されたころの面影はあまりない。でも写真の原点、センス・オブ・ワンダーのイリュージョンはちゃんと残っている。絵画のような色遣い、ブレとボケと過剰な演出、そして観るものの魂を抜き取るようなイメージの奔流。蜷川実花の世界にはそのすべてがある。 ■蜷川実花さんの公式サイト 最新情報、過去の仕事や作品集はこちらでチェック!!
2005年04月06日掲載
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